損傷を受けるおそれのある国家指定重要建築文化遺産を対象に、各種計測装置を用いて毎年、定期的に現場において点検し、文化遺産の損傷や損傷の進行を事前に予防するための事業である。
1) 国家指定重要建築文化遺産に対する安全点検及び現状
国家指定重要文化遺産の定期点検は、1981年、扶余定林寺址五重石塔など、11件の石造文化遺産に対する第1次点検の実施がその始まりであった。その後、1994年(第11次定期点検)まで、点検装置を用いた垂直・水平勾配点検などを実施していたが、1995年(第12次定期点検)には、石造文化遺産に偏っていた定期点検の対象に木造文化遺産8件を加えて点検することで、その対象を拡大した。1997年からは重要石造文化遺産10件と、重要木造文化遺産7件の17件において各対象の文化遺産の保存状態により年4回、年2回、年1回の安全点検を実施しており、点検回数を増やし、点検方法を多様化することで、完璧に点検が可能となるよう試みている。

国家指定建築文化遺産の管理者の要請により、一年中、不定期的に実施している。これにより、補修または持続的なモニタリングなどの点検結果を管理団体に通知している。

1990年中頃から、科学化・先端化という時代の流れに合わせ、文化遺産の安全点検にも振動測定器、光波測距儀、亀裂測定器、超音波探傷装置など最先端の装備を取り入れ、点検の精密度を高め、各種装備の研究開発を行っている。
さらに、現在の建築文化遺産の安定性評価基準研究を通じて、科学的かつ体系的な文化遺産の安全管理を図っている。